妊娠中期、多くの場合は、赤ちゃんは頭を下にした体制に落ち着きますが、中にはそうでなく「さかご」になる赤ちゃんもいます。妊婦健診でさかごと言われて心配になるママも多いと思いますが、決して珍しいものではありません。
30週で頭位になっているのはおよそ85%ですが、34週ごろになると90%以上になり、予定日間近の36週になると約95%という具合にほとんどの赤ちゃんが分娩前までに頭位になります。このように、自然に直ることも多いので心配しすぎないようにしましょう。
逆子のリスクや出産方法は?
そもそも逆子(さかご)とはどういう状況?
来赤ちゃんの頭が子宮口に向かって下向きになっている「頭位」が一般的ですが、おしりや足を子宮口に向けた体勢でいることを「さかご(骨盤位)」と言います。

さかごの種類
殿位でんい
赤ちゃんのお尻が下に向いた状態です。さかごの多くはこの殿位で、比較的危険は少なめです。両足や片足を上げた体勢になることもあります。

足位そくい
赤ちゃんの足が子宮口に向いた体勢です。このままで破水してしまうと、へその緒が出やすい、羊水が流れ出やすいなどの傾向があります。

膝位しつい
赤ちゃんのひざが子宮口に向いた体勢。両膝を揃えていたり、片足を上げていたりします。破水後に羊水が流れ出やすい傾向にあります。

さかごの原因とリスク
さかごの原因
さかごになる原因ははっきり分かっていません。妊娠初期から中期にかけては子宮内のスペースにゆとりがあるので、赤ちゃんがさかごになることはよくあります。
ただ、多胎で子宮内の動けるスペースが制限されている、子宮筋腫や双角子宮(そうかくしきゅう)など子宮の形態異常によって、赤ちゃんが動きづらい、などは理由になる場合があります。
ママ側の原因 | ・子宮奇形 ・子宮筋腫 ・前置胎盤 ・低位胎盤 ・狭骨盤など |
赤ちゃん側の原因 | ・早産 ・多胎妊娠 ・羊水過多など |
逆子のリスク
おなかの赤ちゃんがさかごでも、妊娠経過や赤ちゃんの成長に問題があるわけではありません。さかごが問題になるのは出産時です。ただ、逆子は出産までに自然に直ることも多く、医師の指導の下、直す方法もあります。
注意したいのが陣痛前に破水する前期破水です。羊水が流れ出やすい、へその緒が子宮外に出やすいと言ったリスクがあります。また、さかごのまま経膣分娩すると、赤ちゃんの体より先にへその緒が出てしまい、その結果、赤ちゃんが低酸素状態になる危険もあります。
さかごはいつ診断される?
さかごが問題になるのは出産が近づく妊娠30週以降です。そのため医師がさかごかどうか注視するのは妊娠28週ごろからです。
子宮のスペースに余裕のある30週ごろまでは、赤ちゃんは羊水の中で自由に動きまわっているので、頭位に戻る可能性も十分にあります。それまではさかごと言われてもそれほど心配はいりません。
さかごが直らないと出産はどうなるの?
ほとんどの場合は、正期産(せいきさん)である妊娠37~38週に予定帝王切開で出産します。予定帝王切開とは、あらかじめ日程を決めて行う帝王切開です。
さかごを直すためにできること
さかごを直す方法は産院によってもそれぞれ違います。
自然に任せてさかごが直るのを待つ場合もあれば、積極的に直す指導を行ったり、医師が手技を行ったりする場合もあります。いずれの指導も必ず産院の指導の下で行ってください。
外回転術(がいかいてんじゅく)
医師がお腹に手を添えてお腹の外から赤ちゃんを回転させる方法です。こちらは保険が適応されます。お薬で子宮の収縮を抑えたり、赤ちゃんの心拍を確認したりしながら施術していきます。
羊水が最も多い妊娠30週頃に行うことが多いですが、早産となっても未熟児分娩とならないように妊娠35~37週頃に行うこともあります。
施術にかかる時間は2~3分ほどですが、胎盤が剥離したり、早産になったりするリスクがあります。成功率は約6割ですが、また赤ちゃんが回転して元に戻ってしまうこともあります。
なお、子宮奇形や前置胎盤であったり、羊水が少なかったりする場合は、外回転術を行うことができません。また、出血がある、子宮口が開いている、破水している、へその緒が赤ちゃんの首に巻きついている、といった場合も実施できません。
さかご体操
胸膝法(きょうしつほう)
胸膝法は、お尻を上げた状態で四つん這いになり、骨盤の位置を頭より高くするさかご体操です。

- お尻を高く上げて四つん這いになる
- 両手はまっすぐ前に伸ばす
- はじめは数分から慣れてきたら15分ほど行なう
- 終わったら急に立ち上がらずに数分間横になる
ブリッジ法
リッジ法とは、仰向けになってブリッジのようにおなかを持ち上げるさかご体操です。

- 布団やヨガマットに仰向けに寝る
- クッションやタオルを腰の下に入れ骨盤を持ち上げる
- 最初は数分から慣れてきたら10分ほど姿勢をキープする
- 終わったら数分間横向きに寝る
クッションだけでは身体がしんどいという場合、パートナーや家族に協力してもらって身体を支えてもらいましょう。
側臥位(そくがい)で寝る

健診で赤ちゃんの向きを確認したら、赤ちゃんの背中が上になるようにママが横向きに寝る方法です。そうすることで赤ちゃんの頭は重力によって下がり、子宮口側に下がりやすくなります。ただし、一方方向ばかりになているとママの体にも負担がかかるので、無理のない範囲で行いましょう。
その他
子宮が緊張してかたいと、赤ちゃんは動きにくくなります。子宮の筋肉を緩めるために「温めて血行を良くする」「リラックスする」など意識することが大事です。
意識すること
- 体を温める
- お腹の赤ちゃんに話しかける
- ストレスを溜めない
- 立ちっぱなし、座りっぱなしを避ける
まとめ
今回はさかごについて気になることをまとめました。この記事を読んでいるママさんによってはさかごと診断された妊娠28~30週ぐらいの方もいるかと思います。その場合は、まだこれから赤ちゃんの体勢は変わる可能性は十分あるので、あまり気にしすぎてストレスを溜めないようにしましょう。
もしそのままさかごが直らなくても、妊婦全体でいうと5人に1人は帝王切開で出産しています。それほど稀なものでもないので、過剰に恐れず、リラックスして過ごしましょう。
引用元: 最新!初めての妊娠・出産新百科(ベネッセコーポレーション)