「流産」「早産」が不安なママは多くいらっしゃると思います。特に安定期に入る前は気が気じゃないですよね。
でも妊娠中に「切迫流産」「切迫早産」と診断される事は珍しいことではないんです。意外とこの「切迫」という言葉が付くか付かないかの詳しい違いを分かっていない場合が多いんですよね。
今回はそれぞれの違いを知って、早期に気づくための症状についても覚えるようにしましょう。
流産や早産、これは妊娠継続できる?
「流産・早産」と「切迫流産・早産」は全く違う状態
流産・早産という言葉は、完全に妊娠が終了してしまうことを言います。一方、切迫早産・切迫流産は、妊娠は継続しているけど、流産または早産になるリスクがあるということです。言葉は似ていますが、実は意味は全く違うものなんです。また流産・切迫流産の場合、妊娠12週未満とそれ以降では、原因や発生頻度が違うため、早期と後期に分けています。

早期流産(妊娠4〜11週)
原因
早期流産のほとんどは胎児側の原因で起こります。もっとも多いのは受精卵の染色体異常と言われ、偶然染色体に異常のある卵子、または精子が受精したことによって発生します。
染色体異常が起こる原因は明らかではありませんが、偶然起きた事故のようなものです。ママが何かしたから、しなかったからと言った理由ではありません。
種類
「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」「進行流産」「不全流産」「完全流産」の4つに分けられます。その症状やその後のケアに違いがあります。
一般的には出血や下腹部痛、張りなどの症状がありますが、「稽留流産」では何も症状がないこともあります。また「化学的流産」もあり、受精卵が着床した頃の早い段階で流産となるので、月経と勘違いしたまま気がつかない場合もあります。
稽留流産
子宮内で赤ちゃんが死亡し、そのまま留まっている状態。自覚症状はない。

進行流産
子宮が収縮を始め、流産が進行している状態。一度進行してしまうと止める方法はない。

不全流産
子宮内の赤ちゃんや胎嚢(たいのう)が完全には摘出されずに一部残っている状態。

完全流産
子宮内になる赤ちゃんや胎嚢が完全に摘出された状態。

入院・手術
手術は子宮の内容物が全て出ている完全流産の場合は行いませんが、子宮内に赤ちゃんや胎嚢が残っている場合は、流産確定後、出来るだけ早い時期に行います。
通常は事前に必要な検査を行った後、全身麻酔をして10分程度で終了します。手術の当日か翌日に退院となります。
後期流産(妊娠12〜21週)
原因
後期流産の原因には子宮頸管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)などの病気、子宮筋腫や子宮奇形などの子宮の異常、最近感染などによる子宮の炎症などがあります。
ただ、早い段階で対応できれば流産を防げる可能性もあります。頻繁なお腹の張りや、月経のような出血があった場合は早急に受診しましょう。
手術
早期流産同様に完全流産でない場合は、流産確定後、出来るだけ早い段階で子宮内の内容物を取り除く手術を行います。
また、週数が進み赤ちゃんがお腹の中で亡くなっている場合は、陣痛誘発剤で分娩と同じように陣痛を起こし、赤ちゃん、胎盤などを外に出す処置を行います。退院は手術翌日以降となります。
早産(妊娠22〜36週)
原因
早産の原因は後期流産と同様に母体側の原因であることが多く、中でも最も多いのが、赤ちゃんを包む卵膜が細菌に感染して発症する、絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)です。
他にも子宮頸管無力症などの病気、子宮筋腫や子宮奇形などの子宮の異常が原因になることもあります。いずれの場合も早い段階で対応できれば、早産を防げる可能性があります。
早期切迫流産(妊娠4〜11週)
原因
受精卵が子宮内膜に入り込んで胎盤が出来る過程で、子宮内膜の血管から出血が起こったり痛みが現れたりすると、切迫流産と診断されます。
また、子宮を包む絨毛膜の外側に血液が溜まっている状態の絨毛膜下血腫が原因であることもあります。この血腫から出血している場合もあります。
症状
出血と下腹部の張り・痛みが2大症状です。早期切迫流産は、赤ちゃんの心拍が確認された場合は妊娠経過に問題ない事がほとんどです。
赤ちゃんが元気で、子宮頸管の長さが十分であれば安静に過ごすうちに症状が治ることがほとんどです。
経過
赤ちゃんの発育が順調であれば特別な治療はしませんが、出血や下腹部痛を抑えるために安静にする事は大切です。
また頻度は低いですが、早期切迫流産がそのまま早期流産になってしまうこともあります。
後期切迫流産・切迫早産
見逃さないで!3大症状
- 出血
- おりものの異常
- おなかの張り、痛み
後期切迫流産と切迫早産は症状も原因も共通してます。また後期切迫流産の症状が治らないまま妊娠22週以降に入ると切迫早産に診断名が変わります。どちらも早期の対応で防げることが多いので、早めに気がつくことが重要です。
後期切迫流産も切迫早産も、自覚できる症状は「出血」「おりものの異常」「おなかの張り、痛み」です。またママ自身に自覚症状がなくても、診察時に、子宮口が開いている、子宮口が柔らかい、子宮頸管が短いと言った兆候があれば、後期切迫流産もしくは切迫早産と診断されます。
出血
下腹部の張りや痛みを伴って出血することがあります。ただ、張りや痛みの感じ方には個人差があるので出血だけ気がつくこともあります。少量の出血でも産院に連絡して受診しましょう。
また出血が多く真っ赤な鮮血の場合は重大なトラブルの可能性があります。大至急産院に連絡して受診してください。
おりものの異常
細菌感染など、膣内に異常がある場合は、おりものに変化が現れることもあります。量・におい・色の変化がある場合は産院に連絡して早めに受診しましょう。
また、水っぽいおりものが多量にみられる場合、破水している可能性もあります。その場合も急いで産院に連絡してから受診するようにしましょう。
お腹の張り・痛み
おなかの張り・痛みには心配ないものもありますが、横になって休んでも治らない、規則的な周期でおなかが張る・痛む・出血を伴うと言った場合はトラブルの可能性が高いです。後期切迫流産・切迫早産の可能性があるので、産院に連絡をして受診しましょう。
お腹の張りに関して詳しくはこちら↓
まとめ
いかがだったでしょうか?流産や早産と聞くと不安になるママは多いでしょう。「切迫流産・早産」は意外と妊娠経過で起こる可能性は高くあります。「切迫」の場合は程度にもよりますが、基本的には安静に過ごすことを求められます。
その場合家族のサポートは必ず必要となります。そのような状況になった場合でも、安心してママが休んでいられるよう普段からパートナーへの共有や協力を行っておくと良いですね。
引用元: 最新!初めての妊娠・出産新百科(ベネッセコーポレーション)