【無痛分娩・和通分娩は本当に痛くない?】知っておくべきリスクとデメリット

さまざまなお産方法がある中で、「無痛分娩」「和通分娩」を選ぶ妊婦さんの割合は近年増加しています。

でも実際、無痛分娩ってどんなお産方法なのかよくわかっていない人は多いのではないでしょうか?

今回はそんな気になる「無痛分娩(和通分娩)」に関して、どんな流れで行い、どんなデメリットがあって、どんな人が向いているのか、もしくは向いていないのか、そんな気になる情報をまとめました。

無痛分娩は痛くない?リスクやデメリットは?

海外と日本の無痛分娩の割合は?

日本でも徐々に無痛分娩をお産方法に選択する妊婦さんは増えてきていますが、海外に比べるとその差は歴然としています。特にアメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ベルギー、スウェーデン、フィンランドなど、北米やヨーロッパの国々では、無痛分娩が一般的に行われています。

認知度は年々高くなってきてはいても、日本で無痛分娩で産む割合は6%ほどと、アメリカの73%に比べて大幅に少ないのが現状です。

その理由として日本では1施設当たりの分娩数が少ないために無痛分娩を担当する麻酔科医を常時配置することが困難であり、そのことが無痛分娩の割合が低い理由の1つだと言われています。

そもそも無痛分娩ってどんな方法なの?

無痛分娩は麻酔を利用して痛みを和らげる出産方法です。痛みへの不安が解消されるので、心身共にリラックスしてお産に臨むことができます。またお産での体力消耗が少ない、と言ったメリットもあります。

現在の硬膜外麻酔(こうまくがいますい)は痛みが和らぐとはいえ、お腹が張る感覚などはあります。しかし、帝王切開に準じる分娩管理になるので、麻酔薬注入ルート、静脈ルート、排尿ルートに加えて、母子の安全のため分娩監視装置と母体モニターを装着します。また陣痛が微弱となるため、陣痛促進剤の使用や鉗子(かんし)・吸引分娩が多くなります。

無痛分娩の流れ(硬膜外麻酔の場合)

①局部麻酔を打ちます

硬膜外麻酔を打つときの痛みを和らげるために、最初に局部麻酔を打ちます。ちくっとする程度で痛みはほとんどありません。

②硬膜外麻酔の針を刺します

次に硬膜外麻酔の針を刺していきます。針は少し太めですが、局部麻酔が効いているため痛みはほとんどありません。

③カテーテルを挿入し、針を抜きます

針が硬膜外腔まで達したら、カテーテル(管)を挿入し、針を抜きます。

④麻酔薬を注入します

挿入したカテーテルが抜けないようにテープで固定し、麻酔薬を注入してきます。医師の管理のもと麻酔の量は状況を見ながら加減していきます。

⑤子宮口最大になって助産師さんの合図が出たらいきみます

助産師さんのOKが出たら、子宮の収縮にあわせていきみます。いきむタイミングが分からなくても、助産師さんが合図してくれるので心配いりません。

麻酔を使用するタイミング

出産日を決めて前日に入院するケース

子宮口の状態を見ながら、医師と相談して妊娠37週以降の出産日を決める計画分娩になります。事前に決めた日に入院し、必要に応じて子宮口を開く処置や陣痛促進薬を使ってお産を進め、ある程度お産が進んだ段階で麻酔をします。

無痛分娩は麻酔科医がいないと行えませんが、計画分娩であれば確実に無痛分娩が行えるメリットがあります。

お産が始まってから麻酔を使用するケース

陣痛や前期破水が起きてから入院し、麻酔をします。

お産の進みが速いと、麻酔が効く前にかなり陣痛を体験する場合もあります。麻酔科医が不在の時間帯は対応できないので、無痛を希望しても行えない場合もあります。

無痛分娩に向いている人、向かない人

無痛分娩に向いている人

・パニックになりやすい人
・妊娠高血圧症候群など合併症妊娠で分娩時のストレスを軽減させた方がいい人

無痛分娩に向かない人

・麻酔薬にアレルギーがある人
・血液が固まりにくい人

※背中から麻酔を注入する硬膜外麻酔の場合、針を刺す部分または全身に感染症がある人、背骨が変形しているなどの理由で、できない場合もあります。

無痛分娩の知っておきたいリスク、デメリット

・麻酔科医が常駐する病院でないと無痛分娩ができないこともある
・麻酔が効く前にかなり陣痛を経験する場合もある
・分娩費用が高額になる
・微弱陣痛になりやすい
・行動が制限される管理分娩

麻酔を使用すると、痛みが軽減されるだけでなく、陣痛そのものが弱くなる傾向があります。そのため、陣痛促進薬を使用する可能性が高くなります。

また薬の影響で血圧が下がる可能性もあるので、母体の安全のために多くのモニターを装着し、行動が制限されます。

無痛分娩の気になること

痛みは全くないの?

陣痛が始まってからいつ麻酔を投与するかによっても異なります。

陣痛が進んでから投与すれば強い痛みを経験することもあります。それでも通常の分娩よりは痛みが軽減できるでしょう。

麻酔の効き方に個人差があるの?

どの程度の麻酔投与で痛みを感じなくなるかは個人差があります。

人によっては痛みが少しありことも。また、区域麻酔の場合、麻酔が効いていても、子宮の収縮の感覚はあります。

どれぐらいで麻酔は切れる?

硬膜外麻酔の場合、出産後麻酔が切れるまで1~2時間程度かかります。産後の後陣痛を強く感じる人もいますが、つらければ鎮痛剤を処方されるので産院スタッフに相談すると良いでしょう。

まとめ

無痛分娩は海外に比べてまだまだ日本では認知度も実績も少ないのが現状です。そのため、身近な人でも無痛分娩を経験した人が少なく、興味があってもなかなか相談できる人が少ないのではないでしょうか。

今回の記事では無痛分娩に関しての詳しい説明をしましたが、無痛分娩以外でも痛みを和らげてリラックスした出産を目的とするさまざまなお産方法があります。是非自分に合った出産方法を考えてみてください。

引用元: 最新!初めての妊娠・出産新百科(ベネッセコーポレーション)

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