赤ちゃんを授かった!赤ちゃんが生まれた!こんなに嬉しい事、なかなかないはずなのに、何故か気分は憂鬱…
マタニティーブルーズや産後うつなどの精神的トラブルは誰にでも起こりえます。まずはそのリスクを知って、今の状況を達観することが重要です。
妊娠中や産後になぜか気分が沈んでつらい
産後は精神状態が不安定になりやすい
産後は、妊娠中に活躍した黄体ホルモンや卵胞(らんぽう)ホルモンが急激に減少します。そのため、心身共に不調を感じる人は少なくありません。
そこに出産、慣れない育児の疲れ、睡眠不足などが加わって精神は不安定になりやすくなります。
自分はうつ病になりやすい?
ママ自身でセルフチェック
産後うつ病になりやすいかのチェックになります。ご自身がいくつ当てはまるか数えてみましょう。
ママの性格
- 人に頼ることが苦手
- 理由もなく、不安になったり心配になったりする
- なんだか悲しくなったり、惨めになったりする
- 悪いことが起きると、自分のせいだと思ってしまう
家族の状況
- 夫との会話が少ない
- 夫が忙しく、産後はワンオペ育児になりそう
- 実父母or義父母との関係が良くない
- 実父母or義父母との関係が密接すぎる
- 産後、親からのサポートを期待できない
環境
- 近々、引越しをする
- 産後、保育所に入りにくい地域に住んでいる
- 経済的に不安
ご自身にどの程度当てはまったでしょうか?
3つ以下の場合、産後うつのリスクは少なめですが、油断しないようにしましょう。
4〜6つの場合、不安が多いので注意して家族に気持ちを話してみましょう。
7つ以上の場合、産後うつのリスクは高めです。ご自身で自覚しておきましょう。
その他、こんな傾向のあるママは注意!
また、過去にうつ病や不安症、以前の出産でうつ病になったことがある、家族にうつ病や産後うつになった人がいる、おなかの赤ちゃんに異常があることを指摘されている、若年(10代)妊娠などの場合は、特に注意が必要です。必ずなるわけではありませんが、産後うつ病のリスクが高くなります。
マタニティブルースと産後うつ病の違いは?

マタニティブルーズ(マタニティブルー)は、産後、涙もろくなったり、気分が落ち込んだり、不安感がつのるなどに現れる情緒不安定が代表的な症状です。人にもよりますが、出産後3~4日頃から発症することもあります。
産褥期(出産後、母体が回復するまでの時期)の女性のうち、15~50%に見られるといわれています。発症には、出産によるホルモンの大きな変動が関係していると考えられていますが、原因はまだはっきりとはわかっていません。
多くの場合、体内のホルモンバランスの回復とともに、ほぼ1カ月くらいで自然に治ります。
また、数時間おきの授乳やおむつ替えなど赤ちゃんの世話で、睡眠時間が減少することが、マタニティブルーズの発症に関係しているのかもしれないという研究報告もあります。つらいときは、赤ちゃんの世話を夫や実父母or義父母に代わってもらって、一晩ぐっすり眠るとよいでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんの世話は、お母さんがひとりで頑張らなくてはいけないものではないので、周囲の助けが得られる場合は後ろめたさなど感じず、どんどんと頼るようにしましょう。
赤ちゃんに付きっきりの生活と、育児の不安や外と遮断された生活が、いつの間にかストレスになって、憂鬱な気分を招いていることもあります。そんな時は、夫や友人と電話などで話をじっくり聞いてもらうことで、マタニティブルーズが軽快したという報告もあります。
一方、産後1カ月をすぎても、ますます情緒不安定な状態が進行する場合は注意が必要です。イライラする、眠れない、わけもなく悲しくなって泣いてしまう、物事に集中できない、神経が過敏になって些細なことでも心配になる、やる気が出ないなどの症状が続き、一向に改善しないときは「産後うつ病」の可能性も考えられます。
「産後うつ病」は「マタニティブルーズ」とは違い生理的な現象ではなく、心の病気に近いものです。人によって持続期間は異なりますが、3カ月から12カ月程度続くといわれています。発症時期に関しても産後1ヶ月以内の人もいれば、産後数ヶ月経ってから発症する場合もあります。
この場合にも睡眠不足が症状を悪化させるといわれるので、症状を軽快させるには熟睡できる環境を整えるとよいのですが、生活環境を整えても症状が強い場合は薬による治療が必要です。
ひどくなると消えてしまいたい願望も出現するため、躊躇せず、早急に産婦人科や精神科、診療内科を受診しましょう。
妊娠中にできる 産後うつ病 予防5ヶ条
貧血を予防する
出産後は貧血になりやすく、鉄欠乏による貧血が産後うつの発症に影響を及ぼすことが報告されています。妊娠中に内服していた鉄分や葉酸サプリメントを産後も継続して服用し、体から来る不調を未然に防ぎましょう。
「こうしなきゃ」「こうでなきゃ」を作らない
家事も仕事も、そして産後は子育ても100点を目指す必要なんてないんです。生きていける程度にある程度できていれば充分であると考えましょう。「〇〇しなくちゃいけない」と決めるのではなく、できるとこまでやれたからとりあえずOK! と自分を褒めるようにしてください。
相談できるところを作る
友人や先輩ママに相談する以外にも、産院の助産師さんに相談してみると、より具体的に悩みを理解してくれるかもしれません。また、各自治体にある「子育て支援センター」なども利用してみましょう。多くの自治体が妊娠から出産、子育てまで支援する体制作りをしています。
自分のためだけの時間を作る
おなかの赤ちゃんのために過ごす時間も楽しいですが、自分のためだけの楽しい時間を作るようにしましょう。こうした時間は産後も出来るだけ持ち続けてください。ママ自身がワクワクと幸せに感じる感情を大切にしましょう。
「すみません」を「ありがとう」に変える
「すみません」という謝罪の言葉の連発は、周囲にも自分にもダメな人であると思わせる危険性があります。妊娠中も産後も、自分や赤ちゃんのために何かしてもらったら「ありがとう」と発するようにしましょう。
まとめ
「産後うつ」という言葉は近年、広く知れ渡ってきました。でも実際に自分自身が産後うつになると思っている人はほとんどいません。まずはその考えから変えましょう。
産後うつは誰にでも起こり得ます。
「つらく」なったら、心療内科、精神科を受診しましょう。カウンセリングを受けたり、薬を処方してもらいましょう。
誰にでも起こりえる産後の変化に、どうぞ無理せずママ自身を労ってあげてくださいね。
引用元: 最新!初めての妊娠・出産新百科(ベネッセコーポレーション)